自分と社会・世界 ISSUES

2025.08.14

【戦後80年を考える】 未来の平和のために、いま私たちにできること

教育

2025年は、第二次世界大戦が終結してから80年となる年です。
第二次世界大戦の結果、日本では230万人、世界全体では5,500万人以上の尊い命が失われました[1]。

多くの家族が離ればなれになり、子どもを含む多くの人びとの日常が奪われた大戦。
しかし、その経験を経た後も、世界では多くの戦争が起きています。最近発表された報告書によると、2024 年には、世界 36ヶ国で 61 もの戦争が起きていて、これは 1946 年以降最も多い状況です[2]。

戦争を起こさないために、私たちができることは何があるのでしょうか。
ここでは、子ども・ユースも取り組める平和のためのアクションについて考えていきます。

1. 戦争について学んでみよう

戦争は尊い命を奪い、土地を荒れ果てさせるものです。
戦争や紛争がなぜ起こるのか、どのような影響を与えるのかを理解することが、平和について考える第一歩です。

学習方法としては、広島平和記念資料館や長崎原爆資料館などの見学、戦争をテーマにした書籍や映画鑑賞、インターネットでの情報収集などがあります。また、戦争体験者の方々の証言を聞く機会があれば、ぜひ参加してみてください。

第二次世界大戦について学ぶとともに、いま世界で起きている紛争について学び、紛争地にいる子どもたちがどのような状況にあるかを学ぶこともとても大切です。「あすのコンパス」では、紛争の原因や影響について理解するためのシリーズ【紛争とは?】を公開しています。ぜひ調べ学習に役立ててみてください!

Vol.1 【紛争とは?】 紛争の原因
Vol.2 【紛争とは?】 世界で紛争が起きている地域
Vol.3 【紛争とは?】 戦争や内戦が子どもに及ぼす影響
Vol.4 【紛争とは?】 紛争の影響を受けた人々のための支援活動~私たちにできること~

2. 戦争について伝えてみよう

戦争について自分なりに学んだ後は、ぜひ家族や周りの友人に学んだことや考えたことを伝えてみてください。
夏休みであれば、宿題の「読書感想文」で戦争に関するお話について書くのも一つのアイディアです。

知識を一人で持っているだけでなく、周りの人に伝えることで、その人が考えるきっかけになるかもしれません。

2025年8月6日、被爆80年を記念して広島で行われた平和記念式典において、「平和への誓い」を読み上げたこども代表は以下のように訴えかけました[3]:

One voice.
たとえ一つの声でも、学んだ事実に思いを込めて伝えれば、変化をもたらすことができるはずです。
大人だけでなく、こどもである私たちも平和のために行動することができます。


この夏、戦争について学んだことに自分の考えや思いを乗せて、周りの人にシェアしてみてください。

3. 平和のための活動に参加してみよう

戦争について学び、伝えるだけでも立派なアクションですが、「もっとできることはないの?」と思う人もいるかもしれません。
国や武装勢力が中心となる戦争を、私たちの手で直接止めるのは残念ながらとても難しいことです。しかし、私たちでもより平和な社会を作るための身近な取り組みに参加することができます。

日本から今すぐ参加できるアクションについて、いくつか紹介します:

①署名

セーブ・ザ・チルドレンでは、戦争の影響を受ける子どもたちの教育を守るためのキャンペーンを行っています。学校を攻撃から守るための取り組みに、「学校保護宣言」という国際的な指針があります。私たちはいま、この「学校保護宣言」に日本政府が賛同してくれるよう働きかけるための署名を皆さんから集めています。

私たちの平和のためのアクションに共感してくれる方は、ぜひ以下のページからあなたの署名・意見を寄せてください!

②ワークショップ・イベントへの参加

国際協力を行っている団体では、戦争や平和について考えるワークショップやイベントを開催しています。こうした場では、同じ思いを持っている仲間に出会い、平和を紡ぐ輪を広げていくことができます。
ここでは、セーブ・ザ・チルドレンが今後開催予定のイベントについて紹介します。

【学校保護宣言キャンペーン】スペシャル対談 「学校を軍事標的としないために 紛争下の教育を守る『学校保護宣言』」

俳優・タレントのサヘル・ローズさんと、国連広報センター所長の根本かおるさんをお招きし、紛争下の教育の意義について考えるイベントを開催します。

・日時:8月27日(水) 18:00-19:00
・開催形式:オンライン
・詳細・参加のお申し込みはこちら

【JICA教育協力ウィーク】「『学校保護宣言』策定から10 周年 日本政府による賛同に向けて」-教育を攻撃から守る世界のグッドプラクティスから考える-

・日時:9月9日(火) 15:00-16:30
・開催形式:オンライン
・詳細・参加のお申し込はこちら

③ユース活動

NGOや国際機関などが実施する活動・キャンペーンの一環で、ユースチームが結成されることがあります。

こうしたユース活動に参加すると、仲間と協力してプロジェクトを進める中で、戦争や平和の問題についてより身近な立場で考えることができます。先日セーブ・ザ・チルドレンでも、「学校保護宣言キャンペーン」の働きかけを強化するためのユースチームが発足しました。

②や③で紹介したようなイベントやユース活動に参加したい方は、JICA PARTNERの「学生からできる国際協力のかたち」というページから調べるのがおすすめです。中高生でも参加できるイベントやセミナー、体験型プログラムを多数紹介しています。

④募金

街中の募金箱に少しお小遣いを入れてみたり、家族とNGO・NPOのマンスリー寄付(月々に一定の額を寄付する形の募金)について話題を出したりするのも良いかもしれません。

学校の募金活動に協力してみるなど、学校生活の中で小さなアクションを見つけることもできると思います。

文化祭などで楽しく募金活動をするアイディアとそのアクションを成功に導くヒントについて、以下のボタンからぜひ探求してみてください。

ウクライナの子どもたちのために募金を集める子ども
アメリカのミネソタ州に在住するグレイスさんは、紛争下のウクライナにいる子どもたちへの募金を集めるために、自分で作ったブレスレットを販売。ウクライナの旗の色をモチーフに、希望の言葉をのせたブレスレットの売上は3,300ドル以上に

最後に

ユネスコ憲章[注]の前文には、戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。と書いてあります。まずは身の回りから、この「小さなとりで」を築いてみましょう!

[注]ユネスコは、「国際連合教育科学文化機関(こくさいれんごうきょういくかがくぶんかきかん)」のことで、英語では「UNESCO」といいます。世界の人びとが平和に暮らせるよう、教育や文化などの分野で協力するためにつくられた国際的な組織です。

 

<セーブ・ザ・チルドレン誕生の背景>

セーブ・ザ・チルドレンは、世界の約120カ国で子どもの支援活動を行う団体です。

1919年、イギリス人女性エグランタイン・ジェブによって創設されました。彼女は第一次世界大戦で荒れ果てたヨーロッパで、敵や味方という枠を超えて、栄養不良に苦しむ敵国の子どもたちの支援にも取り組みました。その後、彼女は世界で初めて子どもの権利について正式にまとめた「ジュネーブ子どもの権利宣言」を起草しました。これは後の「子どもの権利条約」へとつながりました。現在この条約には、196の国と地域が批准しており、世界中に取り組みが広がっています。

セーブ・ザ・チルドレンは子どもの権利を守るために、世界の紛争地域で活動しています。その活動内容は、緊急教育支援や栄養・保健支援、子どもの保護にいたるまで、多岐にわたります。また、国内でも災害の復興支援や「学校保護宣言キャンペーン」をはじめとした啓発活動を積極的に行っています。

 

この記事を書いた人:アドボカシー部インターン 吉田莉々

 


[1] 人間自然科学研究所. 戦争による国別犠牲者数
[2] The Peace Research Institute Oslo (PRIO). “Conflict Trends: A Global Overview, 1946-2024.” https://www.prio.org/news/3616
[3] 広島市教育委員会「平和への誓い」.2025.08.06

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