2025.12.10 Vol.7 【学校保護宣言を知ろう】前向きな変化⑤ 教育子どもの保護 学校を攻撃したり、軍事目的で使うことのないよう、子どもたちと教育を守るための世界の約束――「学校保護宣言」。その約束を果たすために、さまざまな国や地域が努力しています。 アフリカ連合(AU)に続き、今回はヨーロッパでの取り組みを学んでいきましょう!AUの取り組みについてはこちらから 欧州連合(European Union: EU) 欧州連合(EU)とは EUは、ヨーロッパの国々が集まってつくられた地域の組織です。二度の世界大戦を経て、経済や政治、人権などについて協力し合い、ヨーロッパ全体がより良くなることを目指しています。その中心となって政策を提案したり、実行したりするのが「欧州委員会」です。EUも、アフリカ連合と同じように「学校保護宣言」を強く支持し、世界中に広める活動をしています。 学校を守るための取り組み EUが世界の子どもたちと教育を守るために行ってきた取り組みについて、時系列に沿って追ってみましょう。 2018年 欧州委員会は、2018年に「緊急下の教育」に関する初めての政策文書を発表しました。「緊急下の教育」とは、紛争や災害などの緊急事態が起きている時でも、子どもたちが教育を受け続けられるように支援することを指します。この政策文書の中で、欧州委員会は「『学校保護宣言』を世界に広め、実際に守られるように支援する取り組みをする」と表明しました。また、このとき欧州委員会は、「学校が軍事目的で使われると、教育現場での暴力が増え、子どもたちが学校に通えなくなってしまう」という問題を、はっきりと指摘したのです[1]。 2021年 2021年、欧州委員会は「EU子どもの権利戦略」という新しい計画を発表しました。これは、子どもたちの権利を守るためにEUが力を入れて取り組む内容をまとめたものです。この戦略の中で、欧州委員会は次のことを重点施策(特に力を入れて取り組むこと)として掲げました。「人道支援資金のうち10%を、緊急時および長期化する危機下の教育支援に継続的に配分し、『学校保護宣言』への賛同を促進する」人道支援基金とは、紛争や災害で困っている人たちを助けるために使うお金のことです。そのお金の10%を、食べ物や水など「物の支援」だけでなく、子どもたちの「教育」に使うということを約束したのです[2]。 2024年 2024年6月24日、欧州連合は「子どもと武力紛争」に関する計画を大幅に更新しました。「子どもと武力紛争」とは、戦争や武力による争いが、子どもたちにどのような影響を与えるか、そして子どもたちをどう守るかについて考える分野のことです。この新しい計画の中には、「学校保護宣言」への賛同と実施を支援することがしっかりと含まれています。そして、この分野での取り組みをより具体的に進めるための新しいガイドライン(指針)が採択されました[3]。ガイドラインがあることで、EUや加盟国がどのように行動すればよいかが明確になり、より効果的に子どもたちを守ることができるようになります。 このように、EUは世界の子どもたちの教育を受ける権利を守るために、地域の政策を更新することなどを通して、「学校保護宣言」を積極的に推進しています。公式な文書に「学校を軍事目的で使ってはいけないこと」をはっきり盛り込むことで、人々は同じ理念に向かって行動を起こしやすくなります。また、支援のお金の一部を教育に使うと決めることで、紛争下においても例えば文房具や教科書を届けたり、先生を雇ったりと、子どもたちの教育を継続させるために必要な環境を整えることができるのです。 戦争や紛争の中でも子どもたちが安全に学校に通い、教育を受ける権利を守るために、EUはルール作りの面でも、お金の面でも、強いリーダーシップを発揮しています。 世界の紛争地で教育を攻撃から守るため、日本政府への署名活動にご協力ください この記事を書いた人:「学校保護宣言」ユース [1] European Commission, “Communication from the Commission to the European Parliament and the Council on Education in Emergencies and Protracted Crises,” COM(2018) 304 final, May 18, 2018[2] European Commission, EU Strategy on the Rights of the Child, 2021.[3] European External Action Service, EU Guidelines on Children and Armed Conflict – 2024, March 25, 2024.