2025.11.04 【番外編③】君も挑戦!Generation Hope 2025気候変動クイズその3 防災・気候変動 ジェネレーション・ホープ(Generation Hope)2025では、気候変動と防災について、日本の中・高生とマダガスカルの子ども・ユースたちが交流授業を行っています。 前回のクイズはこちらから 今回は、日本の子ども・若者世代に特に関わりが深い内容からの出題です。 それでは、早速スタート! 【第5問】 教室が暑いと、授業に集中できずテストの成績が下がる」という研究結果がある。 a. 〇 「マル」、 b. × 「バツ」 正解を見る前に・・・ これまでのクイズでは、熱波や干ばつなど、命に関わる大きな災害について考えてきました。しかし、気候変動の影響は、私たちの日常生活の中に忍び寄っていることもあります。 夏の暑い日に、エアコンのない教室や体育館で授業を受けて、頭がぼーっとしてしまったり、眠くなってしまったりした経験はありませんか? 「暑くて勉強に集中できない」というのは、ただの「気のせい」や「気分の問題」なのでしょうか?それとも、科学的な根拠がある事実なのでしょうか? 【答え】 正解は…a. 「〇(マル)」でした! 「やっぱり!」と思った人も多いかもしれませんね。 「暑さ」と「成績の低下」を直接結びつける確証的なデータを示すのは非常に難しいですが、「暑さは、脳の働き(認知機能)を鈍らせ、集中力を低下させることと関連がある」と示唆する研究は、世界中でいくつも発表されています。 例えば、アメリカの研究者たちによる「Heat and Learning」(「暑さと学習」の関係性についての研究)では、学校の年度末テストの日に気温が高いと、生徒の成績が下がってしまう傾向が見られました[1]。また、特に小さい子どもたちの健康や発達にも、厳しい暑さが負の影響を与えるという報告もあります[2]。 つまり、「暑いと勉強しにくくなる」というのは、科学的な根拠がある考え方なのです。これは、台風のように目に見える災害ではありませんが、子どもたちの未来を左右する「教育」という大切な権利を静かに脅かす、深刻な問題です。 エアコンの普及率が低いマダガスカルのような国の子どもたちにとって、教室の暑さは、毎日の学習を妨げる大きな壁になっています。気候変動は、自然を破壊するだけでなく、世界中の子どもたちの学びの機会をも奪っています。そのため、この事実を知ることは、なぜ世代や国を超えて協力し合う必要があるのかを理解する上で、とても重要です。 【第6問】 気候変動によって、山火事が起こりやすくなったり、大雨の総雨量が増加したりする。 a. 〇 「マル」、 b. × 「バツ」 正解を見る前に・・・ ちょっと待ってください。この問題、なんだか不思議に思いませんか? 「山火事が起こりやすくなる」というのは、つまり「乾燥が進む」ということですよね。一方で、「大雨が増える」というのは「雨量が増える」ということです。 世界が「より乾燥する」と同時に「より湿潤(しつじゅん)になる」なんて、まるで矛盾しているように聞こえます。気候変動は、一体地球をどちらの方向に変えているのでしょうか? 【答え】 正解は…a. 「〇(マル)」でした! 矛盾しているように見えますが、これは事実です。その仕組みを解説しましょう。 気候変動は、天気や気候の「平均」ではなく「振れ幅(ふれはば)」を大きくします。 山火事について: まず、地球の気温が上がると、これまでより長く、そして厳しい干ばつが起こりやすくなります。土や木、草がカラカラに乾燥し、まるで焚き火の薪(まき)のようになります。そこに、何かのきっかけで火がつくと、一気に燃え広がり、広く燃え広がる山火事になってしまうのです。 大雨について: 一方で、気温が上がると、空気中に含まれる水蒸気の量も増えます。暖かい空気は、冷たい空気よりも多くの水分を蓄えることができるからです。これを「巨大化したスポンジ」だと想像してみてください。普段は雨が降らないのに、一度雨雲が発生すると、その巨大なスポンジが絞られ、短時間で「記録的」な豪雨となって降り注ぐのです。 つまり、「降らない時は全く降らず、降る時は破壊的なまでに激しく降る」というのが、気候変動がもたらす脅威なのです。 アドボカシー部インターン ハギヤユカリ [1] Park, R. Jisung, Joshua Goodman, Michael Hurwitz, and Jonathan Smith. 2020. “Heat and Learning.” American Economic Journal: Economic Policy 12 (2): 306–39. [2] Early Childhood Scientific Council on Equity and the Environment. (2023). Extreme Heat Affects Early Childhood Development and Health: Working Paper No. 1. Center on the Developing Child, Harvard University.