自分と社会・世界 ISSUES

2026.08.28

【紛争と人道支援Vol.2】北部紛争を経た難民受入国ウガンダとNGOによる支援

緊急・人道支援子どもの保護

この記事と特に関連が深い子どもの権利
・第22条:難民の子ども
・第28条:教育を受ける権利


皆さんは、ウガンダという国を知っていますか?

ウガンダは日本の本州とほぼ同じ大きさで、東アフリカに位置する国です。「アフリカの真珠」とも呼ばれ、ナイル川の源流があることで知られています。また、世界のマウンテンゴリラの半数以上がウガンダに生息していることでも有名です!

そして、ケニア、タンザニア、ルワンダ、コンゴ民主共和国、南スーダンに囲まれた内陸国です。

世界地図におけるウガンダの位置
ウガンダの位置(出典:OnTheWorldMap, ”Uganda location on the World Map“、 外務省)
ウガンダの位置



各国の現状を踏まえて、セーブ・ザ・チルドレンが行っている人道支援[注]を紹介するシリーズ。

2回目は、ウガンダに焦点を当てて紹介します。(1回目のシリア編はこちら

 

[注] 紛争や自然災害などで影響を受けた人々や地域社会に対し、生きるために必要な支援(食料、医療、安全な場所など)を届ける活動を指します。セーブ・ザ・チルドレンは子ども支援専門の団体として、特に子どもたちのニーズに合ったサポートを提供しています。

ウガンダ北部紛争とは

ウガンダは、1962年にイギリスから独立しました。しかし、その後度々発生したクーデターによって、不安定な政治体制が続いていました。政権交代をめぐる対立が続き、1986年に現政権となりました。

現政権になった(あと)も、ウガンダ北部ではその後も政府軍と反政府勢力との(あいだ)で、約20年にもわたって紛争が続きました。

この争いの中で、兵力を確保するために、多くの子どもたちが兵士として誘拐され、戦わされたり、また少女たちは性的な搾取[注]の対象になったりしました[1][2]。

2006年、政府と反政府勢力の間で停戦合意が実現し、長く続いた争いはようやく終息へと向かいました。

しかし、この紛争の中で、今でもこころや生活に深い傷を抱えている人々がいます。

そのため、彼らが再び地域社会の中で安心して暮らせるよう、さまざまな支援活動が続けられています。

 

[注] 搾取(さくしゅ)とは、時間、労働、精神面、金銭面など、さまざまな要素を不当にしぼり取ることを言います。搾取の例として、例えば、人身取引(人が人を売ること)、性的搾取(性的目的のために、大人よりも弱い立場に置かれがちな子どもを安く買うことができるような状況)、児童労働などがあります。

内戦からアフリカ最大の難民受け入れ国へ

長く内戦が続いたウガンダですが、実は現在、アフリカで最も難民を受け入れている国です。

その背景には、アフリカ地域で近年特に多くの難民を生み出している南スーダンに隣接していることが挙げられます。内戦が続いている南スーダンでは多くの人々が他国への避難を余儀なくされており、ウガンダにいる約200万人の難民のうち半数が南スーダンからの難民です(2026年5(がつ)現在)[3]。

ウガンダは国境を接する南スーダンとコンゴ民主共和国からの難民を非常に多く受け入れていますが、国境を接していないブルンジやソマリア、エリトリアなどからも難民を受け入れています。

ウガンダの難民政策は、国際的にも比較的寛容な制度として知られています。その背景には、ウガンダ自身も北部で長い紛争を経験してきたこと、また周辺国から逃れてきた難民を長年受け入れてきた歴史があります。ウガンダでは、難民に就労の権利や移動の自由を認め、支援に依存するだけでなく、地域社会の中で自立して生活していくことを後押しする政策が国際社会から評価されてきました[4]。

一方で、受け入れる難民の数が増える中、学校や保健施設、食料支援などへの負担は大きくなっており、十分な支援が届いていない状況もあります。難民の子どもたちだけでなく、受け入れ地域の子どもたちも含めて支える取り組みが重要になっています。

セーブ・ザ・チルドレンはどんな支援をしているの?

ウガンダでは、国内紛争によって、長きにわたる避難生活の中で、家族が離れ離れになってしまうことが起きていました。このような中、北部や北西部では、家族や地域で子どもを暴力から守るための仕組みがうまく機能していませんでした。

そこで、セーブ・ザ・チルドレンはこれまで、ウガンダで2つの子どもの保護に関する支援を行っています。

子どもの保護に取り組むウガンダ駐在員
子どもの保護に取り組むウガンダ駐在員(写真一番左)

子どもが主体となって推進する子どもの保護事業

セーブ・ザ・チルドレンは、2024年からウガンダ北西部のアルア県において、子どもが中心となって子どもの意見をまとめ、行政に対して政策提言を行う「子ども参加」の活動を推進しています。

アルア県の事業では、子どものみならず、行政・地域・保護者など子どもを取り巻く関係者が連携し、包括的な子どもの保護の仕組みを強化する活動を進めています。

具体的には、ウガンダで子どもグループ(Child Reference Group: CRG)を立ち上げ、子どもたちの意見表明を支援しています。「子どもの権利条約」第12条[注]には、子どもたちには意見を聴かれ、その意思を大切にされる権利があることが示されています。

CRGでは、学校や地域の子どもたちの意見を取りまとめ、子どもが主体となって活動していることが特徴です[6][7]。

ちなみに、セーブ・ザ・チルドレンがこの事業を行う前には、難民居住区でより緊急性の高い人道支援の側面から子どもの保護事業を続けてきました[5]。その経験を基に、今はより持続性を意識した地域の発展につながる開発事業を展開してきたという背景があります。

 

[注] 子どもの権利条約とは、1989年に国連で採択された、すべての子どもに生まれながらにある権利を定めた条約のことです。子どもの権利条約第12条では、子どもの意見を聴かれる権利が定められており、これを「子どもの意見表明権」、あるいは「参加する権利」などとも言います。もっとくわしく知りたい人はこちら

子どもの保護について説明するウガンダ駐在員
子どもの保護について説明するウガンダ駐在員

教育と一体で進める子どもの保護事業

セーブ・ザ・チルドレンはさらに、2025年からウガンダ北部ラムウォ県に位置するパラベック難民居住区で、教育と子どもの保護を一体で進める事業を始めました。

教育と子どもの保護は深く関わっています。

学校に通えない子どもは、児童労働や児童婚、暴力などの危険にさらされやすくなります。一方で、暴力や虐待を受けた子どもは、こころや体に傷を抱えている場合もあり、安心して学ぶことが難しくなります。そのため、子どもたちが安全に暮らしながら学び続けられるよう、教育と子どもの保護を一緒に進めることが重要なのです。

学校に通えていない子どもたちが学び直す環境を整えたり、学校内や地域内で子どもたちを守る仕組みを強化することで、子どもたちを虐待やあらゆる搾取から守ることができます[8][9]。

ウガンダの学校で学ぶ子どもたち
学校で学ぶ子どもたち

まとめ

かつて長い紛争を経験したウガンダは、紛争によって故郷を追われる人々の苦しみを知る国として、現在南スーダンをはじめとして多くの難民を受け入れています。セーブ・ザ・チルドレンは難民の子どもや紛争の影響を受けた子どもを含め、すべての子どもたちが安心して暮らし、学び続けられるよう、これからも子どもの保護や教育に力を入れていきます。

すべての子どもたちが未来に希望を持てるように、自分にできることを考えてみませんか?

以下のページから、行動するためのヒントを見つけてみよう!

考えてみよう
あなたは(いま)安心して学校に通えていますか?
通学路、または学校の校舎などを思い浮かべ、安全のために取られている対策にどのようなものがあるか考えてみよう。


アドボカシー部社会啓発チーム インターン

出典

[1][2] ワールド・ビジョン・ジャパン、「ウガンダはなぜ難民受け入れ大国なのか?内戦の歴史と難民政策を解説」、2026.06.12
・峯陽一(2007)、「ウガンダ1986,南アフリカ1994―紛争後の包括的政治体制の比較分析―」、第3章 ウガンダ1986、南アフリカ1994 ─ 紛争後の包括的政治体制の比較分析 ─、武藤進一編『アフリカにおける紛争後の課題』調査研究報告書、アジア経済研究所
・Human Rights Watch (2003), Stolen Children: Abduction and Recruitment in Northern Uganda | HRW.
[3] UNHCR, “Uganda Fact Sheet – January – March 2026”, 2026.05.26
[4] ALEXANDER BETTS (2021), “REFUGEES AND PATRONAGE: A POLITICAL HISTORY OF UGANDA’S “PROGRESSIVE” REFUGEE POLICIES”, Oxford University Press, Volume 120, Issue 479, pp.243–276.
[5] セーブ・ザ・チルドレンが2016年に難民居住区で続けていた子どもの保護事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の資金を活用して実施していました。「ジャパン・プラットフォーム」(JPF)は、日本発の国際人道支援プラットフォームで、個人・企業・NGO・政府が連携し、国内外の自然災害による被災者、紛争による難民・国内避難民に、迅速かつ効果的に日本からの支援を届けています。
[6] セーブ・ザ・チルドレン、「【ウガンダ】持続的な子どもの保護システムの強化を目指して:人道支援から開発支援へ」、2024.04.25
[7] セーブ・ザ・チルドレンが2024年からアルア県で行っているこの事業は、多くの皆さまからのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力からの支援で実施しています。
[8] セーブ・ザ・チルドレン、「【ウガンダ】教育と子どもの保護を一体で:パラペック難民居住区で新事業を開始」、2025.12.23
[9] セーブ・ザ・チルドレンがパラベック難民居住区で展開しているこの事業は、株式会社ファーストリテイリング(ユニクロPEACE FOR ALLプロジェクト)からのご支援によって実施されています。

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