2025.11.10 Vol.4 【学校保護宣言を知ろう】前向きな変化まとめ② 教育子どもの保護 学ぶ権利を守る世界の取り組み 世界には、学校に通えない子どもが2.72億人います[1]。それでも「学びを止めたくない」と願う子どもたちと、その思いを支えようと努力している国々があります。 「学校保護宣言」は、紛争下の危機においても子どもたちの学びが途絶えないようにするための国際的な取り組みです。 今回は紛争の影響を受けながらも教育を守ろうとするブルキナファソやマリと、この宣言を策定したノルウェーでの前向きな変化を見ていきましょう! ①中央アフリカ共和国、②ナイジェリア、③イギリス、④ウクライナ、⑤コロンビアのまとめはこちら ⑥ ブルキナファソ ブルキナファソの場所 西アフリカにあるブルキナファソは、2017年9月(がつ)に「学校保護宣言」に賛同しました。 2017年頃、ブルキナファソでは武装勢力による攻撃が急増し、多くの地域で何千人もの子どもたちの教育が中断させられていました。こうした状況を受け、政府は紛争下でも子どもたちの教育を守るため、「学校保護宣言」への賛同を決定しました。 その背景には、アフリカ連合(African Union)の平和安全保障理事会による呼びかけがありました。ブルキナファソはその呼びかけに応える形で、2017年9月12日、アフリカ連合加盟国として19番目の賛同国となりました。 ブルキナファソはこの宣言への賛同を通じて、紛争下で危険にさらされている学校や生徒、教員を保護し、教育を受ける権利を守るための枠組みに参加することになりました[2]。 ⑦ マリ マリの場所 マリは2018年2月(がつ)に「学校保護宣言」に賛同しました。 マリでは、2012年以降の北部における武力紛争(政府軍と反政府勢力との衝突)により、学校の破壊や占拠などが頻繁に発生しました。また、マリを含む西アフリカ諸国では、武装勢力が公教育カリキュラムは世俗的[注]であるとして、それらを使わないよう教員や生徒を脅したりすることが起きていました。 その結果、これらの地域にある数千校の学校が閉鎖してしまい、多くの子どもたちが教育を受けられない状況にあったのです[4][5]。 [注]「世俗的」とは、宗教と関係がないこと、宗教的な考えや儀式に基づかないということです。より広い意味でいうと、宗教以外の、日常生活や社会の普通の事柄に関するものを指します。例えば、学校、政治、科学、娯楽などは「世俗的」な分野です。上の文脈では、「その地域の学校で教えられている授業が特定の宗教の教えとは関係のない内容だから、それを認めない」という意味です。 マリ政府は「学校保護宣言」に賛同することで、「教育を攻撃の対象にしない」、「学校・大学の軍事利用を防ぐ」という国際的ルールを、国内の政策に取り入れていく意思を示したことになります。 ⑧ ノルウェー ノルウェーの場所 ノルウェーは、2015年に、アルゼンチン政府とともに、「学校保護宣言」の策定を発表しました。 この宣言が策定された背景には、さまざまな取り組みがありました。まず、2012年から、「学校保護宣言」の草案が少しずつできあがっていきました。この最初の草案を作ったのは、「教育を攻撃から守る世界連合(Global Coalition to Protect Education from Attack: GCPEA)」という、セーブ・ザ・チルドレンを含むNGOや、ユニセフなどの国際機関、そして国際基金などによる連合体です。 GCPEAは、さまざまな立場にいる人が納得して賛同できるよう、草案をつくる過程で、軍関係者を含む多くの関係者の意見を聞きながら修正を重ねました。 そして2014年からは、ノルウェーとアルゼンチンの両国政府が主導して、同宣言が今の形に取りまとめられるようになりました。 2015年5月(がつ)29日にノルウェーの首都オスロで開かれた会合で「学校保護宣言」が発表された際には、37ヶ国(かこく)が賛同支持を表明しました。 現在、ノルウェーは自国の軍事政策を改定したり、子どもや学校・教育をより良く守る方針に更新することで、この宣言への約束を実践しています。 ノルウェーはこれまで学校保護宣言のパイオニアとして宣言を形づくる段階からリーダーシップを発揮し、賛同国のネットワークの拡大や、紛争による子どもへの負の影響を抑えるためのガイドライン(行動方針)を推進するなど、この宣言に関する先導的な役割を果たしています[6]。 日本はどうなの? 紛争の有無にかかわらず、子どもたちが安心して学べる環境を守ることは、どの国にとっても共通の願いです。 学校保護宣言は、各国に教育を武力攻撃から守るための真剣な取り組みを求めるものです。2025年11月現在、すでに121ヶ国が「学校保護宣言」に賛同しており、世界各地で教育を守る動きが広がっています。それでも日本は、いまだこの宣言に賛同していません。学びを守る世界の流れに、日本も加わるためには市民の声が必要です。 日本も「学校保護宣言」に一刻も早く賛同するよう、あなたの声を届けてください。 学校保護宣言キャンペーンに参加する マリのモプティ地方で学校に向かう子どもたち 「学校保護宣言」ユース まゆ、なつは、ほのか、とあ [1] UNESCO (2025) 272 million children and youth are now out of school.[2] GCEPA, “Burkina Faso is 19th African Union member to endorse Safe Schools Declaration”, September 12, 2017.[3] DIAMOND online、『「ブルキナファソってどんな国?」2分で学ぶ国際社会』、2022年12月28日[4] GCPEA, “Protecting Education from Attack through Strong Coordination in Mali”, September 1, 2025.[5] GCPEA, “Dominican Republic and Mali endorse the Safe Schools Declaration”, April 18, 2018.[6] Norway Ministry of Foreign Affairs, “Speech by Ms. Ine Eriksen Spreide, Minister of Defence, Norway, at the Oslo Conference on Safe Schools,” in Report of the Oslo Conference on Safe Schools, May 2015, p. 19.