2025.05.16 Vol.2 日本はSDGsをどれぐらい達成できているの?あなたの観点で評価してみよう! 保健・栄養教育子どもの貧困 前回は、SDGsの達成度を各国が自ら評価する「自発的国家レビュー(VNR)」について解説しました。 自発的国家レビューを行うと自ら手を挙げた国では、その国の市民も、自らの観点でSDGsの達成度などについて評価したり、今まだ足りていないところを洗い出し、政府にさらなる対策を求めるということが行われます。 日本(にほん)政府が自発的国家レビュー(VNR)を行う2025年[注]、あなた自身の観点でも、今の日本(にほん)でSDGsの目標を達成できているか、評価してみませんか? [注] 各国で実施されたVNRの結果は、毎年、各国政府の代表によって国連の会議で報告されます。この会議の名前は、「ハイレベル政治フォーラム(High Level Political Forum on Sustainable Development: HLPF)」と呼ばれています。2025年のHLPFは、7月(がつ)14日~23日の間にアメリカ・ニューヨークの国連本部で開催されます。 この記事では、セーブ・ザ・チルドレンが作成した、子どもの権利と関連性が深いSDGsのゴールを評価するためのワークシート『子どものスコアカード』の概要と使い方について紹介します。 ※この記事の最後でも、『子どものスコアカード』をダウンロードすることができます。 子どものスコアカードとは? 子どものスコアカードとは、子どもの視点から、SDGs(持続可能な開発目標)の達成度について評価したり、自分の国や世界の子どもに関する情報を記録するためのテンプレート(ひな型)です。 子どものスコアカード評価シート(SDG目標1: 貧困をなくそう) 学校でのSDGsに関する授業や、部活・クラブ活動、総合的な学習や探求の時間、夏休みや冬休みなど長期休暇の調べ学習などでこの『スコアカード』を使って、先生やクラスメート、あるいは保護者・地域の人たちとSDGsの達成度を考える時間を持ってみよう! [注] このスコアカードは、子どもの権利と特に関連の深い8つのSDGsの目標に特化しています。 [注] このスコアカードは、数字で正確なデータを作ったりするものではありません。使う人が、自分たちの地域や目的に合うように工夫して使ってください。 子どものスコアカードの使い方 誰でもこのカードを活用することができます。 子どものスコアカードを使うことで、みんなが平等に大切なサービスや権利を受けられているか、子どもたちの声や体験談を集め、それをもとに発信することができます。 例えば、スコアカードで集めた意見を、あなたが住んでいる町の町役場や市役所に持っていき、もっといい計画や決まりを作るようにお願いすることもできるかもしれません。 自分たちの未来をより良くするために、学んだことや気づいたことをもとに、社会に働きかけてみよう! [注] 「社会に働きかける」と一口に言っても、さまざまな方法があります。例えば、あなたが住む町に「子ども会議」があるかどうかを調べて、活動内容や応募方法をチェックしてみたり、セーブ・ザ・チルドレンのような団体と一緒に政府に対して提言活動を行う機会もあります。 また、関心があるテーマの本を読んだり、インターネットでキーワードを調べてみたりするのもGOOD! 日本(にほん)各地の子ども会議の例も見てみよう:青森県青森市 神奈川県川崎市 子どものスコアカードの使い方ステップ ステップ1. SDGsのゴールに点数をつけよう 各SDGsのゴールの点数は、カード内の5つの方針に沿ってつけよう。最後に、総合点もつけましょう。 ☆カード内に書かれている5つの方針: 普遍性(すべてのものに当てはまること) 誰一人(ひとり)取り残さない 相互関連性と不可分性(互いに関係すること・切り離せないこと) 変革的であること(変わって新しいものになること) パートナーシップ(目標を達成するために協力すること) 点数のところは、✓や好きなマークを入れたりして、自由に使って大丈夫です。※子どもの視点からSDGsを評価するための5つの方針について、くわしくはこちら スコアカードの下の欄には、 「この問題を解決するためのあなたのアイディア」 「あなたや周りの友だちが、自分たちの地域から起こせる良い変化」 そして「そのために必要なサポート」について、あなたの考えを書いてください。 スコアカードの点数 スコアカードでは、-2から+2までの数字を使って評価します。 -2 は、SDGsが作られた2015年ごろに比べて大きく後退してしまったとき。 +2 は、大きく進歩し、順調に進んでいるとき。 子どもの権利と関連が深いSDGsのゴールをすべて評価しても良いし、1つか2つだけ、特に気になるゴールだけ点数をつけるなど、自分の関心や、学校・課外活動などで取り組んでいるテーマに合わせて決めよう。 ステップ2.数字でSDGsの進捗を見てみよう 選んだゴールのテーマに関する状況をインターネットや本などで調べてみましょう。そのテーマにくわしい人に話を聴いてみるのもおすすめです。 特に数字に注目してみて、今どれぐらいの人が困っているのか、また、それが他国と比べて多いのか少ないのかといった観点で、日本(にほん)社会の現状について、考えてみてください。 例えば、「目標1 貧困をなくそう」であれば、以下のような記事や調査からくわしい情報を得ることができます: ●日本(にほん)の子どもの貧困(子どもの貧困の現状、貧困率などについて書かれています。) ●子どもの貧困と子どもの権利に関する意識調査(子どもの貧困の実態や、その認知度を知ることができます。) ●日本(にほん)の教育、どうしてこんなにお金がかかるの!?~意外とかかる教育費~(中高生世代が、学校生活や学ぶために必要なお金、それに対する子どもたちの声を紹介しています。) あなたが特に関心を持っているテーマについて、子どもの視点で、自分の国や地域の状況、そして自分たちにできることを考えてみましょう! 『子どものスコアカード』をダウンロードする 子どものスコアカード_SDGsの進捗評価_セーブ・ザ・チルドレンダウンロード 実際にこのワークシートを使って、世界の子どもたちが自分の国のSDGsの達成度を評価した例も見てみましょう!➡Vol.4 SDGsをネパールの子どもたちが評価してみた この記事を書いた人:アドボカシー部社会啓発チーム 唐語思(ゆうし)