自分と社会・世界 ISSUES

2026.06.30

ワールドカップの熱狂のかげで―サッカーに希望を見出す危機下の子どもたち

緊急・人道支援

この記事と関連が深い子どもの権利
・第22条:難民の子ども
・第39条:被害にあった子どもの回復と社会復帰

スポーツの力

2026年6(がつ)~7(がつ)の1ヶ(げつ)(かん)サッカーワールドカップが開催されています。

優勝国を決めるため、4年に一度実施されるこの大会は、世界の多くの人々が観戦し、熱狂します。ワールドカップはサッカーだけでなく、バスケットボール、野球、ラグビー、バレー、スキージャンプなど、さまざまなスポーツで行われています。

スポーツには、チームメイトや対戦相手と競い合い、高め合ったり、また、それらの試合を応援したりと、言葉や文化の壁を越え、人々が一体となれる力があります。

さらに、紛争地域に暮らす人々や、紛争から逃れてきた人々にとって、スポーツはエンターテイメント以上の意味を持つことがあります。

「コーチング・フォー・ライフ」に参加するヨルダンの難民キャンプの子どもたちがチームメイトと笑みを浮かべながら走っている様子
「コーチング・フォー・ライフ」に参加するヨルダンの難民キャンプの子どもたち

現在、世界では5人に1人の子どもが紛争下で暮らしています。

スーダンやウクライナ、レバノンなど、紛争の影響を大きく受けている国々では、スポーツは楽しみといった要素だけではなく、子どもたちが安全に過ごしたり、こころを回復させたり、自分らしさを取り戻していくための大切な時間、支えとなっています。

セーブ・ザ・チルドレンによるサッカーを通じた支援

セーブ・ザ・チルドレンは、サッカーを通じた子ども支援プログラム「コーチング・フォー・ライフ」を難民キャンプなどで実施しています。

2018年にヨルダンのザータリ難民キャンプ[注]で始まった「コーチング・フォー・ライフ」には、これまで10歳から18歳まで6,800人以上の子どもたちが活動に参加してきました。

参加している子どもたちは、「ピッチで友だちに会うと、とてもうれしい」、「きょうだいと一緒に家にいるような気持ちになる」など、サッカーが気持ちの拠り所になっていると話しています。 

 

[注] ザータリ難民キャンプは、ヨルダン北部の砂漠地帯に位置するシリア難民キャンプで、2012年にシリアで始まった紛争や暴力から逃れてきた難民を受け入れてきました。今もおよそ5万人が暮らしています[2][3]。

サッカーを通じた支援プログラムを受けた子どもの声

セーブ・ザ・チルドレンがエジプトで実施するこどもひろばでも、子どもたちの活動の一つとしてサッカーを提供しています。

2023年のイスラエル軍の空爆でガザの自宅が爆撃され、両親ときょうだい2人を失ったアフマドさん(11歳)*も参加者の一人です。

アフマドさんは空爆によって大切な家族を失いました。自分自身も、頭と背中に破片があたり、顔や体に後遺症が残るほどのけがをしました。こうしたつらい体験は、今もこころと体に深い傷を残しています。

こどもひろばでは、アフマドさんのような子どもたちが、心のケアや安心して生活するためのサポートを受けながら、サッカーを含むスポーツ活動に参加しています。

 

サッカーボールを抱え微笑むアフマドさん。こどもひろばでスポーツ活動に参加し自信を取り戻すことができた
サッカーボールを抱え微笑む
アフマドさん*

 

セーブ・ザ・チルドレンのシニア教育アドバイザーであるアルロ・キッチングマンは、次のように話します。

 

「サッカーは楽しいものですが、紛争などが続く危険な状況下で生きる子どもたち、また難民として逃れてきた先で暮らす子どもたちにとっては、それ以上の意味を持ちます。日々の厳しい現実から気持ちを切り替える時間となり、仲間と再びつながる場であり、自信を取り戻すきっかけにもなります。そうした経験は、子どもたちが自らの体験を少しずつ乗り越え、友だちや地域の人たちとのつながりを取り戻しながら、より良い未来への希望を見出すうえで欠かせないものです。」 

 

アドボカシー部 インターン

 

*プライバシー保護のため、子どもの名前は変更されています。


この記事は、セーブ・ザ・チルドレン、「サッカーが子どもたちの人生を変える:ワールドカップから世界の危機へ」(2026.06.16)を参考に子ども向けに編集されています。
[1] UNICEF、「5人に1人の子どもが武力紛争下の国々で暮らす「教育は命を守り、人生を変えるもの」ユニセフ事務局長」、2026.02.24
[2] セーブ・ザ・チルドレン、「ザータリ難民キャンプ設営から5年~ヨルダンにおけるシリア難民の子どもたちの教育事情」、2017.07.28
[3] UNHCR、「2026年「世界難民の日」に寄せて~UNHCR親善大使MIYAVIからのメッセージ」、2026.06.20

この記事はいかがでしたか?

一覧へ戻る