2025.07.09 【日本の子どもの貧困】Vol.1 子どもの貧困の現状 子どもの貧困 「子どもの貧困」という言葉、聞いたことはありますか? 身の回りで実感することがある人もいるかもしれません。 日本でもお金に困って、ご飯を十分に食べることができなかったり、学びたいことを学べない、やりたいことを我慢している子どもたちがいます。 今、私たちの社会はどういう状況にあるのか、見てみましょう。 日本で暮らしている子どもたちの約9人に1人(ひとり)は、「相対的貧困(そうたいてきひんこん)」の状態にあるといわれています[1]。「相対的貧困」とは、まわりの多くの人たちができている“平均的であたりまえの暮らし”ができない状態のことです。 たとえば、友だちと同じように習い事に行くことができなかったり、勉強や学校生活に必要なものを買うことが困難な状況を指します。 また、それ以外でも、スポーツ観戦や美術館に行けないなど、体験できることが限られることも含まれます。 しかし、どうやって“平均的であたりまえの暮らし”を送れているかどうかを判断するのでしょうか?その方法の一つとして、等価可処分所得(とうかかしょぶんしょとく)という考え方があります。 “平均的であたりまえの暮らし”を測るための指標 等価可処分所得とは「家族の人数に合わせて調整した、実際に使えるお金」のことです。 まず、「可処分所得」とは、世帯の収入から税金や社会保険料などを引いた実際に家族が自由に使える所得(お金)を意味します。 その上で、同じ10万円を1人で使うのと、4人で分けて使うのでは、生活のしやすさが変わってきますよね。 ただ、家賃や光熱費などの生活費は、家族の間で一部共有できるものもあります。 そのため、等価可処分所得は、収入から家族で自由に使える分のお金を単に一人(ひとり)当たりに割(わ)るのではなく、実際の生活水準に近づけた比較ができるよう計算方法を調整して計算します。これを等価化(とうかか)と言います。 そして、この等価可処分所得の中央値(ちゅうおうち)、つまり「真ん中の人」が自由に使える金額の半分より下の人は、「貧困線(ひんこんせん)」を下回っているとされ、相対的貧困の状態にあるといわれます。 日本では親子2人(ふたり)の家庭の場合、毎月約14万円以下で暮らしていると、この貧困線より下まわる生活だとされます。 ちなみに、貧困線は国によって基準が違います。日本は「中央値の50%未満」を使っていますが、60%未満としている国もあります。 子どもの貧困率 厚生労働省の調べによると、日本に住む17歳までの子どものうち、11.5%の子どもが「貧困」の状態にあると言われています。 そのうち、特にひとり親(おや)世帯の貧困率は44.5%となっています[2]。 どのような世帯が貧困状態に置かれやすいかというと、実は国によって傾向が違います。 つまり、子どもの貧困は子どもやその保護者・養育者自身の問題というよりも、政策や労働市場(企業などの職場の風土も含む)におけるゆがみ[注]や欠陥など、社会の構造によって引き起こされているものです。 [注] 「ゆがみ」とは、本来あるべき形や状態が崩れてしまっていることを意味しています。ここでは、社会の仕組みがうまくいっていないこと(例えば、子育てをしていると仕事が見つけにくいことや、助けを受けられる制度が足りないなど)が原因で起きているさまざまな「不公正」のことを指します。 日本のひとり親家庭の貧困率が高い理由や利用できる支援・制度についてくわしくはこちら: 約2世帯に1世帯が貧困状態。日本のひとり親家庭の貧困率が高いのはなぜ?その原因や、ひとり親(おや)家庭が利用できる制度・支援とは。 「相対的貧困」は、その国で目指す“平均的であたりまえの暮らし”がどんなものかによっても変わってくる、重要な目安です。 次の記事では、子どもの貧困における問題点や、子どもの貧困をなぜ放置してはいけないのかについて考えていきましょう。 【日本の子どもの貧困】Vol.1 子どもの貧困の現状(今回の記事)【日本の子どもの貧困】Vol.2 なぜ子どもの貧困を放置してはいけないのか【日本の子どもの貧困】Vol.3 子どもの貧困の原因【日本の子どもの貧困】Vol.4 国や自治体による子どもの貧困対策【日本の子どもの貧困】Vol.5 子どもの貧困と子どもの権利に関する意識調査 この記事を書いた人:アドボカシー部インターン ハギヤユカリ [1] 厚労省(こうろうしょう)(2022年)「国民生活基礎調査の概況」 [2] 厚労省(こうろうしょう)(2022年)「国民生活基礎調査の概況」