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2025.01.22

SDGsを「子どもの権利視点」で考える?! SDGsと子どもの権利の関係 

教育子どもの保護子どもの貧困
子どもの権利条約
子どもの権利条約

SDGsについて、皆さんは「子どもの権利」という視点から考えてみたことはありますか?子どもにとって、特に関わりが深いSDGsのゴールには、どのようなものがあるでしょうか? 

この記事では、SDGsと子どもの権利について解説していきます。 

そして、子どもの権利と特に関連の深いSDGsの目標を8つ取り上げて、くわしく見ていきます。 

ぜひ学校の宿題や自由研究など調べ学習にも役立ててください! 

子どもの権利とは? 

子どもの権利とは、すべての子ども(18歳未満の人)にある基本的人権のことを指します。 

子どもの権利は、すべての子どもが幸せで、健康で、公正で、安全な環境で成長できるように、子どもたちが公平に扱われ、適切に見守られるようにするために存在しています。 

子どもの権利には、学校に行く権利であったり、自分の意見を伝える権利、そして暴力を受けずに生きる権利など、他にもたくさんの権利があります。子どもたちには日常生活から国連などのグローバルな場まで、あらゆるレベルにおいて、自分たちの意見を聴いてもらい、正当に重視される権利があります。 

ちなみに、日本では1994年に、子どもの権利を国として守ることを約束し、「子どもの権利条約」を批准しました。 

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と「持続可能な開発目標(SDGs)」とは? 

2015年、すべての国が「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と呼ばれる国際的な計画に合意しました。この合意の下、世界のリーダーたちは、現在と将来の世代のために、より公正で、より豊かで、そして持続可能な世界を創るために協力することを約束しました。 

2030アジェンダの計画を達成するための目標として、世界をより良い場所にするために何をすべきかについて世界中の人々からアイデアを募った結果を踏まえ、17の持続可能な開発目標(SDGs*)が採択されたのです。 

*SDGsはSustainable Development Goalsの略です。 

SDGsと子どもの権利の関係は? 

SDGsは、子どもの権利をその取り組みの中心に据えなければ達成できません。SDGsのターゲットの90%以上は、国際的な人権や労働基準[注]に関連しています。例えば、SDGsのキャッチフレーズでもある「誰一人取り残さない(leave no one behind)」という言葉は、非差別と平等という基本的人権の原則を反映しています。 

脆弱な立場に置かれがちな子どもの権利を守ることは、SDGsを達成するためにとても大事です。そして、SDGsの目標を達成することは、今の子どもたちや未来の子どもたちの権利を守ることにつながります。  

[注] 世界で児童労働に従事する子ども(5~17歳)は、2020年時点で約1億6,000万人。これは世界の子どもの約10人に1人に相当します[1]。 

それでは、子どもの権利と特に関連が深いSDGsのゴールを見ていきましょう! 

子どもたちの生活と関わりが深い8つのSDGs 

目標1 貧困をなくそう

2030年までに、すべての国においてあらゆる形態の貧困をなくすこと。貧困は、子どもたちが十分な栄養、健康、水、教育、保護、住まいにアクセスするという最も基本的な権利を奪い、子どもたちが持つ可能性を実現する力を低下させます。  

これは、子どもの権利条約の第6条、第19条、第26条、第27条、第28条などと関連します。 

第6条:生きる権利・育つ権利 

第19条:あらゆる暴力からの保護 

第26条:社会保障を受ける権利 

第27条:生活水準の確保 

第28条:教育を受ける権利 

目標2 飢餓をゼロに 

飢えをなくし、誰もが栄養のある食料を十分に手に入れられるよう、地球の環境を守り続けながら農業を進めること。 (くわしくはこちら

これは子どもの権利条約の第6条、第19条、第27条、第29条などと関連します。 

第6条:生きる権利・育つ権利 

第19条:あらゆる暴力からの保護 

第27条:生活水準の確保 

第29条:教育の目的 

目標3 すべての人に健康と福祉を 

どの世代や年齢の人に対しても、健康的な生活を保障し、福祉を促進すること。(くわしくはこちら

これは子どもの権利条約の第6条、第17条、第19条、第23条、第24条、第25条、第27条などと関連します。 

第6条:生きる権利・育つ権利 

第17条:適切な情報の入手 

第19条:あらゆる暴力からの保護 

第23条:障害のある子ども 

第24条:健康・医療への権利 

第25条:施設に入っている子ども 

第27条:生活水準の確保 

目標4 質の高い教育をみんなに 

障害のある人も含むすべての人に公平な質の高い教育を保障し、生涯学習の機会を促進すること。 

これは子どもの権利条約の第2条、第28条、第31条などと関連します。 

第2条:差別の禁止 

第28条:教育を受ける権利 

第31条:休み、遊ぶ権利 

目標5 ジェンダー平等を実現しよう 

男女平等を実現し、すべての女性と女の子の能力を伸ばし可能性を広げること。 

これは子どもの権利条約の第2条、第19条、第34条、第36条と関連します。 

第2条:差別の禁止 

第19条:あらゆる暴力からの保護 

第34条:性的搾取からの保護 

第36条:あらゆる搾取からの保護 

目標8 働きがいも経済成長も 

(ターゲット7)2025年までに子ども兵士(児童兵士)を含むあらゆる形の児童労働をなくすこと。  

これは子どもの権利条約の第28条、第31条、第32条、第35条、第36条、第38条などと関連します。 

第28条:教育を受ける権利 

第31条:休み、遊ぶ権利 

第32条:経済的搾取・有害な労働からの保護 

第35条:誘拐・売買からの保護 

第36条:あらゆる搾取からの保護 

第38条:戦争からの保護 

目標13 気候変動に具体的な対策を 

気候変動から地球を守るために、今すぐ行動を起こすこと。 

これは、子どもの権利条約の第4条、第6条、第29条などと関連します。また、国連人権理事会の「清潔で健康的かつ持続可能な環境に対する人権」とも関連します。 

第4条:国の義務 

第6条:生きる権利・育つ権利 

第29条:教育の目的 

目標16 平和と公正をすべての人に 

子どもに対するものを含め、あらゆる暴力をなくすこと。すべての人が法や制度で守られ、自由で情報にアクセスできる安全で平和な社会を作ること。子どもを含む、すべての人が自分たちに影響を与える決定について意見を表明できること。 

これは子どもの権利条約の第6条、第13条、第15条、第17条、第19条などと関連します。 

第6条:生きる権利・育つ権利 

第13条:表現の自由 

第15条:結社・集会の自由 

第17条:適切な情報の入手 

第19条:あらゆる暴力からの保護 

SDGsを子どもの権利という視点から考えてみて、あなたはどんな気づきがありましたか? 

また、特に気になる子どもの権利はありましたか?子どもの権利条約一覧子どもの権利条約ができた歴史のおはなしと、こちらの特設サイトも読んで、SDGsや子どもの権利についてさらに理解を深めましょう!  

まとめ

SDGsで定められた目標の多くは、子どもたちの生活と密接に関連しており、子どもの権利条約によっても保障されています。

以下のダウンロード可能なファイルと、こちらにある子どもの権利条約一覧を印刷してよりくわしく見比べてみたり、子どもの権利という視点から、SDGsの各項目が定められた背景や世界の子どもたちに思いを馳せてみてください。

 

この記事を書いた人: アドボカシー部インターン 吉田莉々

 


[1] ユニセフの主な活動分野|子どもの保護 児童労働 

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