子どもたちの参加例 2025.08.05 石巻市の子ども参加の取り組み 教育 自治体の取り組み子ども・ユース声 あなたの声がまちを変える! 2023年4月(がつ)に発足したこども家庭庁は、子どもの声を聴くことを重視しています。 これまで、全国のさまざまな市町村で子どもや若者の意見を聴き、それを地域で活かすための取り組みが行われてきました。 ここでは、宮城県石巻市の子ども参加の取り組みを紹介します。 「石巻市子どもセンターらいつ」における子ども参加 2013年12月、「石巻市子どもセンターらいつ」が完成しました。 「らいつ」は子どもたちが地域のさまざまな人と協力しながら企画・デザインした子どもセンター(児童館)で、いつもたくさんの子どもたちでにぎわっています。セーブ・ザ・チルドレンも、子どもたちと一緒に、その設置に関(かかわ)りました。 「らいつ」では子どもたちが主体となって、以下のような取り組みが行われています[1]。 「子どもまちづくりクラブ」の運営 子どもたちが地域の一員として、まちづくりに参加しています。子どもの視点で、まちの活性化に向けて、どんなことができるか、定期的に集まって、アイディアを出し合っています。 まちづくりクラブの中心は子どもたち!毎月ワークショップを実施しています 「らいつ会議」の実施 子どもセンターの利用方法に子どもたちの声を反映するために、月1回集まって話し合っています。 「まきトーーーク」の実施 子どもたちがまちについて気軽におしゃべりができるイベントです。その声は「子どもまちづくりクラブ」にもつながっています。 「らいつ」の何がすごい? 「石巻市子どもセンターらいつ」の大きな特徴は、子ども参加を重視していることです。 子どもたちのことをただの利用者ではなく、「らいつ」の運営や、石巻市の取り組みに意見を伝える大事な存在として捉えています。 特に次の4点は、このことをよく表しています。 ① 子どもたちが「らいつ」の建物を企画・デザインしたこと 「らいつ」は、2011年にセーブ・ザ・チルドレンが子どもたちに呼びかけて始めた「石巻市子どもまちづくりクラブ」の子どもたちが、地域の人々にヒアリングをしたり、建築の専門家からアドバイスを得たりしながら、企画・デザインしました。 ② 子どもたちが「石巻市子どもセンター条例」の前文を考えたこと 石巻市では、子どもたちの居場所になる「らいつ」をつくるときに、「どんな児童館にしたいか」、「どんな理由でつくるのか」などを、ルール(=条例)として定めています。そのとき、一番最初の「前文」の部分は、おとなだけでなく、まちづくりクラブの子どもたちも一緒に考えながらつくりました。くわしくはこちら:らいつとは | 石巻市子どもセンター らいつ ③「らいつ」の運営に子どもたちが関わっていること 会議の実施からイベントの企画まで、「らいつ」ではさまざまな形で子どもたちが積極的に運営に携わっています。 ④ 指定管理者を選ぶ時にも子どもが参加していること 2018年4月(がつ)から、「らいつ」の運営は「指定管理者」が行うことになりました。指定管理者とは、「自治体が持っている公共施設(公園、図書館、体育館、児童館など)の運営を、民間企業やNPOなどに任せる制度」のことを言います。 この指定管理者を選ぶ時も、子どもの視点で意見を伝える「子ども委員」が参加しました。 子どもの声を反映する石巻市のルールづくり 石巻市では、まちの施策に子どもの声を反映するために、いろいろなルールづくりを行ってきています。 石巻市子どもの権利に関する条例 すべての子どもの権利が尊重され、一人ひとりの子どもが健やかに成長できる社会づくりを目指して、「石巻市子どもの権利に関する条例」が制定されました(2009年3月(がつ))[2]。 ※第7条 社会へ参加する権利地域や社会の活動に参加したり、意見を表明することが大切にされます。 石巻市「こどもまんなか」宣言 子どもにとって最も良いことを第一に考える「こどもまんなか社会」を実現するために、石巻市が行った宣言です(2024年1月(がつ))[3]。 宣言の内容はこちら こども家庭庁の「こどもまんなか応援サポーター」に、石巻市も仲間入り! 石巻市こども計画 石巻市は、子どもや子育てに関する課題の解決に向けて、「石巻市こども計画」を策定しています。 この計画は「こども・若者・おとな」みんなでつくりあげました! この計画でも、子どもの声や意見を聴く取り組みについて、明記しています[4]。 石巻市こども計画の表紙と、パブリックコメント資料(こども向けのわかりやすい版) こどもまんなか推進事業 「石巻市こども計画」の新規事業!新たに募集した「こども・若者委員」を中心に、市をもっと良いまちにするための話し合いや企画が行われています [5]。 石巻市では、「子どもセンターらいつ」を拠点に、まち全体が子ども参加に非常に積極的な姿勢がとても印象的でした。 今後も石巻市の取り組みに注目していきましょう! 【補足】石巻市とセーブ・ザ・チルドレンのつながり2011年3月(がつ)11日に発生した東日本大震災は、大きな揺れと津波により東北地方を中心に大きな被害をもたらしました。セーブ・ザ・チルドレンは、2011年の5-6月(がつ)に、宮城県・岩手県の子どもたち約1万1千人にアンケートを実施したところ、9割近い子どもたちが「まちのために何かしたい」と思っていることがわかりました。この声を受けて、セーブ・ザ・チルドレンは子どもたちとともに3つの地域で「子どもまちづくりクラブ」をつくりました。このうちの一つが石巻市でした[6]。 石巻市子どもまちづくりクラブのメンバーは、2011年の夏に「夢のまちプラン」をまとめました。このプランをもとに、石巻市や地域の人と話し合い、2013年12月(がつ)に「石巻市子どもセンターらいつ」が完成しました。「らいつ」は、地域の人たちと連携しながら、子どもたちが中心となって企画・デザインした施設です。セーブ・ザ・チルドレンはこの施設を石巻市に寄贈し、2019年まで運営のサポートを行っていました[7][8]。 あなたのまちの子ども会議 皆さんも、ぜひ自分のまちや周りでどんな活動が行われているか、子ども会議や子ども・青少年協議会などがあるか、調べてみてください! (試しに、自分が住んでいる「市や区の名前」×「こども会議」などで検索してみてね。) そもそも政府や自治体はどんなことをしているの?と思ったあなたは、こちらのページへ: 子どもの権利についてー政府や自治体の取り組み #石巻市 #子ども参加 #子どもセンターらいつ #らいつ この記事を書いた人:アドボカシー部インターン 吉田莉々(りり) [1] 石巻市子どもセンターらいつ. 「子どもセンターらいつの事業内容」[2] 石巻市子育てナビ「子どもの権利ってなに!?」[3] 石巻市「こどもまんなか」宣言. [4] 石巻市こども計画(計画書本編)[5] 石巻市子育てナビ. 「こどもまんなか推進事業(こども等の意見反映)【こども・若者委員の活動開始!!】」[6] 石巻市子どもセンターらいつ. 「らいつとは」 [7] セーブ・ザ・チルドレン. 「石巻市子どもセンター引渡式:夢のまちプランがついに現実に!」(2013.12.23)[8] セーブ・ザ・チルドレン. 「【報告】5年に渡る石巻市子どもセンター「らいつ」運営サポート完了」(2019.10.10)