2026.06.20 【SOGIEと子どもの権利 Vol.3】子どもの権利条約と、社会全体で取り組むことの大切さ 子どもの保護 子どもの権利条約には、いつ、どこにいても、誰であっても、生まれた時からある子どもたちの権利が示されており、これらの権利はどんな状況でも等しく守られなければなりません。 LGBTQ+の子どもたち、そしてすべての子どもにとって、特に重要な子どもの権利の原則となる4つの条文を紹介します[1]。 子どもの権利条約について、くわしくはこちら 第2条(差別の禁止) どんな背景であっても差別されない権利があります。LGBTQ+の子どもたちは、権利侵害や暴力にさらされるリスクが高く、特別な配慮や支援が必要な場合があります。 第3条(子どもの最善の利益) 子どもにとって最も良いことを優先して考えてもらう権利です。ただし、「子どものため」という理由で、LGBTQ+に関する情報へのアクセスを制限したり、いわゆる「矯正」を正当化するためにこの原則が誤って用いられてしまうことがあります。「矯正」とは、ここでは人の性的指向や性自認を、無理やり変えようとする行為のことを指します。 第6条(生きる・育つ権利) 子どもには安全に生き、健やかに成長する権利があります。そのためには、暴力から守られること、教育や医療を受けられることに加え、自分のアイデンティティが尊重されることも不可欠です。アイデンティティとは、「自分は何者か」、「自分らしさとは何か」という感覚のことで、自分が自分らしくあるためのすべてのものや要素を指します。 第12条(意見を聴かれる権利) 自分に関わることについて意見を表し、その意見を聴かれ、また意見を尊重される権利があります。性のあり方や表現についても、子ども自身の声が大切にされる必要があります。 こうした権利を守るため、どんな課題があり、どのような対策が必要かを考えるには、一人ひとりの個人に目を向けるだけでなく、子どもたちを取り巻く環境に目を向けることも必要です。 子どもを取り巻く環境は、「個人・コミュニティ・社会」の3つの層(レベル)があり、お互いに影響しあっています[3]。 子どもを取り巻く環境の3つの層(レベル) 個人レベル 社会や周囲の考え方は、子ども自身の自分に対する考え方や内面に影響を与えます。 「異性を好きになることが当たり前」、「性別は男女だけ」といったような社会にもともとある考え方が、子ども自身が自分を理解することに影響します。社会にあるイメージや考え方と異なる場合、それとは違う自分を否定的に感じてしまう場合があります。 コミュニティレベル 学校や家庭、友人関係など、子どもにとって身近な日常生活(コミュニティ)が子どもに影響を与えます。学校でのいじめやからかい、教師の理解が十分でない場合、家庭内で否定されたり、「あえて話題にしない」といった沈黙が、排除につながることがあります。 社会レベル 社会の制度・仕組みや文化が子どもの権利や子どもの人生に影響を与えます。婚姻や性別変更に関する法律などの制度が不十分であること、またメディアや文化における「こうあるべき」というステレオタイプ(決めつけ・思い込み・型にはめた見かた)を助長するような描かれ方が、子どもの自由に選択する機会や権利に影響を与えることがあります。 子どもを取り巻く環境の3つの層(レベル) 差別や排除につながる課題は、これらのそれぞれのレベルで発生し、影響し合っています。 だからこそ、個人一人ひとりへの働きかけや声かけだけでなく、家庭・学校・地域・社会全体の意識を変える、または理解を深めるための活動や、法律や制度を変えていく取り組みがともに必要です。 また、SOGIE(ソジー)に加えて、貧困・障害・民族・家庭環境の要因が重なることで、子どもたちの課題がさらに複雑になります。こうした一人ひとりの異なる背景や複数の要因が重なり合うことを交差性(こうさせい)と言います。 このような交差性を踏まえた上で、一つの決まったサポートではなく、多様な背景を考慮した関わりや働きかけが大切です。 SOGIEとは何かについて、くわしくはこちら 考えてみよう 性的指向や性的自認などに限らず、あなたが普段の生活の中で、気になっている社会の偏見や差別はありますか?どうしたら差別や偏見をなくせるか、考えてみよう。 【SOGIEと子どもの権利】シリーズをまとめて読む 【SOGIEと子どもの権利 Vol.1】すべての子どもが自分らしく生きるために【SOGIEと子どもの権利 Vol.2】日本の現実―学校での困難と、相談できないしんどさ【SOGIEと子どもの権利 Vol.3】子どもの権利条約と、社会全体で取り組むことの大切さ(今回の記事)【SOGIEと子どもの権利 Vol.4】私たちにできること―小さな行動が、大きな安心につながる この記事は、セーブ・ザ・チルドレン「プライド月間に考える、子どもの多様なSOGIEと権利」(2026.6.1)を参考に子ども向けに編集されています。[1] セーブ・ザ・チルドレン、子どもの権利条約条文一覧[2] Save the Children Sweden (2026), “Proud to stand with every child- Introduction to children’s rights and LGBTQI”[3] Save the Children (2017), “Save the Children Gender Equality Policy: Transforming Inequalities, Transforming Lives”