自分と社会・世界 ISSUES

なぜ各地で紛争が起きているのか、不思議に思うことはないでしょうか。2024年現在、世界中で59もの紛争が起きています[1]。その中には何年も続いている大きな紛争もあれば、最近始まったばかりの紛争もあります。 

何年も前に比べれば紛争で亡くなる人は少なくなったとはいえ、ここ数年（2021年、2022年、2023年）は冷戦終結以来、最も多くの犠牲者を出しています。子どもたちを含む大変多くの人々が、これらの紛争のために苦しんでいます。現在紛争が起きているいくつかの場所について、見ていきましょう。

ウクライナ

ウクライナのことはニュースで聞いたことがあるかもしれません。2022年以来、隣国ロシアと戦争状態にある東ヨーロッパの国です。

戦闘は多くの犠牲と損害をもたらしています。2022年2月(がつ)から2023年9月(がつ)までの間に３万人近くの市民が命を落としました。何百万もの人々が家を離れ、安全のために他国に移住しなければなりませんでした。学校、病院、住宅が破壊され、子どもたちは学ぶ場所や遊ぶ場所も失っています[2]。

セーブ・ザ・チルドレンが行っているウクライナの子どもたちへの支援も読んで、さらに理解を深めてください：【ウクライナ危機から2年】ルーマニアに避難している子どもたちへの教育支援とこころのケア支援

パレスチナ・ガザ地区

パレスチナの人々が暮らす小さな地域―ガザ地区。長年、パレスチナとイスラエルの間では、土地や誰がどこに住むべきかをめぐって争いが絶えませんでした。1948年にイスラエルという国ができたとき、多くのパレスチナの人々は自分たちの家や土地を追われ、難民になりました。この出来事は、パレスチナの人たちの間で「ナクバ（大惨事）」と呼ばれています。その後、イスラエルはパレスチナの土地を占領し、2006年からガザ地区を封鎖しています。この封鎖は17年以上も続いており、ガザ地区に住む人々の生活に大きな影響を与えています。ガザ地区では、家や学校、病院が破壊され、多くの子どもたちが家族と離ればなれになり、日常生活を送ることが難しくなってしまいました。人々は不安や恐怖の中で、安心して暮らすことができない状況が続いています[3]。

2023年と2024年は、ガザ地区で武力衝突が起き、状況がさらに悪化しました。ガザ地区で暮らすサマーさん（4児の母親）のストーリーも読んで、現地の人々や子どもたちが置かれた状況についてさらに理解を深めてください：「私の一番の願いは、紛争が終って家に帰ること」 ガザ地区中部の避難所にクラス、サマーさん（4児の母親）のストーリー。

世界各地で起きている紛争

ウクライナとガザ地区以外でも、世界ではさまざまな紛争が起きています。例えば、アフガニスタン、シリア、ソマリア、イエメン、ナイジェリア、エチオピア、エリトリア、アゼルバイジャンなどで、1年間に1,000人以上が犠牲になる紛争、「高強度紛争」と呼ばれる紛争が起きています。

その中で、特に長い間紛争が続いている地域もあります。シリアの内戦は14年[4]、イエメンの内戦は9年、アフガニスタンの内戦は40年以上続いています。

仮に、武力紛争の中で一生を過ごすことを想像してみましょう。

シリアやアフガニスタンの多く子どもたちは、生まれてからの間、ずっと紛争の中で生きており、平和がどんな状態かを知りません。彼らの多くは家を離れなければならず、健康でいることも学校に行くことも難しい混雑したキャンプで暮らしています。

次の記事では、紛争は子どもたちにどのような影響を与えるかについて、学んでいきましょう。

この記事を書いた人：アドボカシー部インターン　ハギヤユカリ　

[1] The Peace Research Institute Oslo (PRIO), “Trends in Armed Conflict, 1946-2023”, 2024 （英語）

[2] 出典：国連人権高等弁務官(2023) 「Ukraine: civilian casualty update 24 September 2023」

[3] セーブ・ザ・チルドレン(2024) 「パレスチナ・ ガザ地区での危機」

[4] 2024年12月(がつ)現在、アサド政権の崩壊とともに一時的に戦闘は休止しています。14年間にわたる紛争を経て、シリアは現在比較的平穏な状況を取り戻していますが、政況(せいきょう)が目まぐるしく変化し続ける中、依然として状況は不安定で、長年の紛争による大きな犠牲が残されています。