自分と社会・世界 ISSUES

2024.08.21

【シリーズ第7回:災害時の多様性について考える】災害とジェンダー(2)

防災・気候変動

この記事は、災害時の多様性について考えるシリーズです。
今回はジェンダーやセクシュアリティ(性のあり方)について全3回のうちの第2回目です。

 

前回は災害時に、女性がどのような立場に置かれるかについてお話ししました。(前回の記事はこちら
今回は男性か女性かという性別のわく組みをこえて、多様な性の視点から災害時の多様性について考えてみます。そこで、LGBTQの支援や、自治体や学校での理解促進をしている認定NPO法人ReBitに話を聞きました。

【シリーズ第7回:災害時の多様性について考える】災害とジェンダー(2)イメージイラスト

用語について

LGBTQとは、多様な性のあり方の中で、少数派の立場に置かれやすい人々のことを指す言葉です。

英語の

Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)

Gay (ゲイ、男性同性愛者)

Bisexual(バイセクシャル、両性愛者)

Transgender (トランスジェンダー、出生時に割り当てられた性別とは異なる性別で生きている人・生きたい人)

Questioning・Queer (クエスチョニング・クィア、自らの性のあり方について特定の枠に属さない人、わからない人、決めたくない人)

の頭文字をとった言葉です。

 

認定NPO法人ReBitにインタビュー

セーブ・ザ・チルドレン:
LGBTQの人は災害時にどのようなことでこまってしまうことがあるのでしょうか?

 

ReBit(リビット):
LGBTQが災害時にこまってしまうポイントは、大きく5つあると思います。
 

1.家族関係
2.避難所の男女分け
3.医療の使いやすさ
4.避難所での望まないカミングアウトやアウティング
5.セクシュアリティ(性のあり方)をふくめて相談できる場所がない

 

まず1つ目が、家族関係です。

現在日本では同性カップルの結婚が法的にできないため、同性のパートナーやその子どもを家族だと証明することができない人がいます。それにより、災害時に同じ世帯として確認してもらえないことや、復興支援住宅への入居をことわられてしまうことがあります。
(一部の自治体には、同性カップルの結婚が法的にできないかわりに、自治体が独自にLGBTQカップルに「結婚に相当する関係」をみとめるパートナーシップ制度がありますが、すべての自治体にパートナーシップ制度があるわけではありません)

2つ目が、避難所の男女分けです。

たとえば避難所でのトイレ・お風呂についてです。LGBTQのなかには、共用のトイレ・お風呂を使うことがむずしい人もいるので、こういった設備面でこまってしまうことが多いです。
また物資が男女別で配られることもこまってしまうことがあります。たとえば女性用の生理用品が配られるとき、生まれたときの体の性別が女性で、今は男性として生きているトランスジェンダーの方の中には、生理用品が必要な方もいるため、「(見た目は男性なのに)なぜ生理用品が必要なのか」と聞かれてこまってしまうことがあります。

3つ目が、医療の利用しやすさについてです。

LGBTQは今の社会のなかでは差別や偏見をうけやすい状態にあります。そのような社会状況もあり、精神疾患やメンタルヘルス(精神保健)についてリスク(危険)が高いといわれており、毎日薬を飲んでいる人もいます。またトランスジェンダーの人のなかには、治療のために、定期的に薬を飲んだり、注射をうったりしている人もいます。しかし災害によってこういった医療ケアを利用することがむずかしくなってしまって、心身のバランスをさらにくずしてしまうということがあります。

4つ目が、避難所での共同生活のなかでおこる望まないカミングアウトやアウティングです。

「望まないカミングアウト」とは、自分のセクシュアリティ(性のあり方)を本当は打ちあけたくないのに打ちあけなければならないことを言い、アウティングとは、自分のセクシュアリティについて、本当はまわりに知られたくないないのに、自分の同意がないままほかの人に伝わってしまうことを言います。
たとえば過去の災害では、LGBTQの方が避難所での共同生活で、見た目で自分のセクシュアリティを判断されてしまって、からかわれたり、誹謗中傷(人のこころを傷つける悪口やデマ)をうけて、避難所にいられなくなってしまったりということがありました。

5つ目が、セクシュアリティをふくめて相談できる場所がないということです。

たとえば、避難所の相談窓口の相談員がセクシュアリティについて理解があるかどうか分からなくて相談しにくかったり、勇気を出して相談してもセクシュアリティに理解がないとき、「それって今いうことじゃないよね」「そんなに大したことじゃないよね」というふうにとらえられたり、ハラスメントにあってしまったりすることもあります。
また、相談の内容によっては、カミングアウトしないと正確に伝えられないこと、相談できないこともあります。そのためカミングアウトしたくない場合、まわりの人に相談することができないこともあるのです。相談をできないことで傷や悩みが深まってしまうおそれがあります。

 

次回は、このようなLGBTQの人が直面する課題を解決するために、なにが大切かを聞いてみます。

 

※この記事は2023年8月に作成しました。
防災に関する最新の情報は内閣府のホームページをご覧ください:https://www.bousai.go.jp/

この記事はいかがでしたか?

一覧へ戻る