2024.08.21 【シリーズ第4回:災害時の多様性についてかんがえる】災害と外国人・外国にルーツがある人(2) 防災・気候変動 このブログは災害時の多様性についてかんがえるシリーズです。今回は外国人・外国にルーツがある人についてのお話の全3回のうち、第2回目です。前回第1回は、災害時の外国人・外国にルーツがある人の問題点とその解決方法について外国人や外国にルーツがある人への支援をしている一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR/クレア)に、セーブ・ザ・チルドレンから聞きました。(前回の記事はコチラ) 今回はクレアが作っている支援ツールについて聞いてみます。 セーブ・ザ・チルドレン:クレアで作っている支援ツールについて教えてください。 クレア:1つは、多言語版在住外国人向け防災行動計画(マイ・タイムライン)検討ツールです。 出典 在住外国人向け防災行動計画(マイ・タイムライン)検討ツール – 多言語情報等共通ツールの提供 – 多文化共生 – CLAIR(クレア)一般財団法人自治体国際化協会 これは、災害がおきたときのために、どういった準備をしておくべきか、どのくらいになったら逃げるべきかといったことをタイムラインにそってあらかじめ計画するものです。 つぎに、災害時外国人支援用ピクトグラムです。ピクトグラムとは、言葉だけでなく絵も使ってわかりやすく表現したマークのようなものです。 出典 災害時外国人支援用ピクトグラム – 多言語情報等共通ツールの提供 – 多文化共生 – CLAIR(クレア)一般財団法人自治体国際化協会 たとえばこれは、避難所に避難してきた外国人に宗教や思想などの理由で食べられないものはないか、を確認するときに使ってもらうピクトグラムです。 ほかにも、避難所のスタッフとコミュニケーションを取るときに使う多言語指さしボードがあります。 出典 多言語指さしボード – 多言語情報等共通ツールの提供 – 多文化共生 – CLAIR(クレア)一般財団法人自治体国際化協会 また、災害時の外国人支援にかかわる動画では、じっさいに被災された人のインタビューものせています。たとえば2016年の熊本地震で被災したイギリスからの留学生は、「地震がおきたときに何をしたらいいか分からなかった。前からどうすべきか考えていたけれども何もできなかった」と話していました。パプアニューギニアからの留学生は、「自分の国では地震がないので地面がゆれるのが初めてだった。日本語もまだあまりできなかったので『避難所』という言葉も初めて聞いた」と話していました。そして、今までツールの話をしてきましたが、ツールを作るだけではじっさいに使ってもらえないことがあるため、広く使ってもらえるように、災害時に外国人を支援する人のための研修・訓練もやっています。 セーブ・ザ・チルドレン:たくさんの取りくみをされているのですね。外国人や外国ルーツの子ども向けに特別な支援などもありますか。 クレア:特別に子ども向けではないですが、「やさしい日本語」が有用です。日本にいる外国ルーツの子どもの特徴はおもに2つのパターンがあると感じています。1つは、子ども自身は日本で生まれ育って日常的に日本語が使えるけれど、親はあまり日本語が得意ではないというパターンです。ほかの人と日本語で話をするときに、自分の親の通訳をするような子どももいます。もう1つは、現在日本でくらしてはいるものの、あるていど母国で生活をしてから日本に来たため、子どもも親も日本語がそれほど得意でないというパターンです。このパターンはどうしても日本で生まれ育った人が一般的に得られるような情報から遠ざかってしまうことがあります。そのような場合に、なるべく情報をとどけられるように、自治体などは多言語で情報発信をしています。そのなかでもわかりやすいと評判なのが「やさしい日本語」です。「やさしい日本語」は、1995年の阪神淡路大震災のときに生まれたと言われています。外国人全員が英語を話せるわけでなく、外国人でも英語が伝わらないことがあるため、あるていど日本でくらしたことのある人の場合は、かんたんな日本語のほうが分かりやすいということでした。今では外国人だけではなくて、子どもや高齢者、障害者にも分かりやすく伝わる言葉ということで、広まってきています。 次回は災害時の外国人・外国ルーツの方の今後の課題点と取りくみについてです。(つづきはコチラ) ※このブログは2023年6月に作成しました。防災に関する最新の情報は内閣府のホームページをごらんください。https://www.bousai.go.jp/