2024.08.21 【シリーズ第3回:災害時の多様性についてかんがえる】災害と外国人・外国にルーツがある人(1) 防災・気候変動 災害時の多様性についてかんがえるこのシリーズでは、前回、災害と障害のある人についてお伝えしました。(前回の記事はコチラ)今回は外国人・外国にルーツがある人について、3回に分けて紹介します。 障害のある人と同じく、外国人や外国にルーツがある人も、災害がおきたときに取りのこされてしまいがちな人たちです。では、どのような面でこまったり、不安を感じたりしているのでしょうか。外国人や外国にルーツがある人への支援をしている一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR/クレア) にセーブ・ザ・チルドレンから聞いてみました。 セーブ・ザ・チルドレン: 外国人や外国にルーツがある人の災害時の問題点について教えてください。 クレア: 日本の災害を経験したことがない外国人は、母国(生まれた国)の災害の知識しか持っていないことが多く、災害について「きっと大丈夫だろう」と楽観的であったり、逆にこわがりすぎたりすることがあります。日本では、学校で避難訓練を毎年やりますし、幼い頃から地震、台風、水害などを経験し、その対応策を知っています。しかし世界では、地震がほとんどない国もあります。また水害がしょっちゅうあっても、あまり水害対策をとれていない国もあります。そういった国の人にとって、日本で災害が起こったときにどう行動すればよいかわからない場合があります。たとえば、日本で避難所というと小学校の体育館をイメージすると思いますが、それは海外に行くとまったく通じない常識です。小学校や体育館が避難所になっているところは海外だとあまりなく、教会や役所が避難所になることが多かったり、そもそも避難所がないこともあります。そのため、「逃げてください」と言われても、どこに逃げるのかという感覚がことなっていることも問題点としてあります。 セーブ・ザ・チルドレン: 日本ではあたりまえに知られている災害のことでも、外国人や外国にルーツのある人は知らないことがあったり、知っていても日本の状況とはちがっていたりするのですね。その問題点を解決するために大切なことは何ですか。 クレア: 大切なことは外国人・外国ルーツの人のストック情報は日本で生まれ育った人とは異なるということ、そして外国人・外国ルーツの人は日本で生まれ育った人とくらべてフロー情報がとどかない可能性があることを理解することです。ストック情報とは、日本に生まれ育った人がずっと知っている情報のことです。たとえば、日本ではどういう災害がおきるのか、どういった場所に逃げればいいか、どんな公共の支援があるか、などです。フロー情報とは、流れていく情報のことで、災害がおきたときに流れるニュースや政府の報道などです。このストック情報の違いをおぎない、また日本語で流れるフロー情報を外国人・外国ルーツの方にも伝えて、災害時に適切な行動をとれるようにすることが大切です。私たちは、そんなときに便利な支援ツールをいくつか作っています。 次回はクレアが作っている支援ツールについてお伝えします。 ※このブログは2023年6月に作成しました。防災に関する最新の情報は内閣府のホームページをごらんください。https://www.bousai.go.jp/ (国内事業部インターン 野田麻子)